長いお別れ
認知症を患った父と、その介護をする妻と娘たちのお話
物語は八つの短編に分かれていてそれぞれ起承転結がありとても読みやすい。
最初の第一編の結びの場面
終わり方に何となく物足りなさを感じ、
え、これで終わりなの?と思ってしまった。
でも、読んでいくうちにこれがこの作者の手法なんだって気づいた。
あえて、最後の場面はかかない。
でも読者は結末を容易に読み取ることができる。
他の編でも、同じように、
「後はお察し下さい」ってかんじで終わっているところがあって、それはそれで粋な感じにも思えてきた。
最後の終わり方もかなり遠回し。
でも、そこがいいなと思えた。
少しずつ記憶をなくしてゆっくりと遠ざかっていく夫を、献身的に介護する妻とそれを手助けする娘たち。
彼女らの家族愛に出会い、自分の直面している介護の在り方も見つめなおすことが出来た。
さすが、日本医療小説大賞を受賞しただけある。