存在のない子供たち

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存在のない子供たち   (2019.8 サロンシネマにて鑑賞)

 

 レバノンの町で暮らす男の子 ゼイン 年齢は12歳くらい

彼は自分の誕生日を知らない。

学校にも行かせてもらえず、街中で物を売ったりして生計を支えている。

一緒に暮らすたくさんの兄弟も同じ境遇だ。

 

兄弟の中でも時に仲の良かった妹が11歳でむりやり嫁に出されてしまうところから物語が動き出す。

家出をして行き場を失ったゼインが出会ったのは 不法移民の女性とその赤ちゃん。

ゼインはその赤ちゃんの世話をすることになる。

 

この赤ちゃんがめちゃめちゃプリティ。演技?がうまいのか、監督の取り方が上手なのか。

もちろん ゼイン演じる男の子も観るものの心を動かすようなすごい存在感を持っている。するどい瞳の奥にはどこか物悲しさがあって。

そういえば、是枝監督の「誰も知らない」に出てきた主人公の少年(柳楽優弥さん)もあんな目してたっけ。

 

犯罪や違法行為が横行する日常。

日本ではありえないような現実が 世界のどこかでは起こっているんだと思うと、映画観ている間、ずーっと心が重たかったけど、

最後あの男の子が笑った瞬間、優しくて正義感あって行動力のあるあの子の未来がやっと開けたんだなって嬉しい気持ちでいっぱいになった。

 

 

 

 

 

 

長いお別れ

 

長いお別れ (文春文庫)

長いお別れ (文春文庫)

 

 

認知症を患った父と、その介護をする妻と娘たちのお話

 

物語は八つの短編に分かれていてそれぞれ起承転結がありとても読みやすい。

 

 

最初の第一編の結びの場面

 

終わり方に何となく物足りなさを感じ、

え、これで終わりなの?と思ってしまった。

 

でも、読んでいくうちにこれがこの作者の手法なんだって気づいた。

あえて、最後の場面はかかない。

でも読者は結末を容易に読み取ることができる。

 

他の編でも、同じように、

「後はお察し下さい」ってかんじで終わっているところがあって、それはそれで粋な感じにも思えてきた。

 

最後の終わり方もかなり遠回し。

でも、そこがいいなと思えた。

 

少しずつ記憶をなくしてゆっくりと遠ざかっていく夫を、献身的に介護する妻とそれを手助けする娘たち。

 

彼女らの家族愛に出会い、自分の直面している介護の在り方も見つめなおすことが出来た。

 

さすが、日本医療小説大賞を受賞しただけある。

 

 

 

第8回 絆映画祭にて

 

周南絆映画祭にて2作品鑑賞しました。

 

永い言い訳

 

 商品の詳細 

 

交通事故で妻を亡くした小説家と同じ事故で妻(母)を失くした家族(夫、子供)が交流を深めながらいままで気づかなかった大切なことに気づき、成長していく映画

 

小説家サチオ(本木雅弘)は妻を失くしてもどこか冷めていて涙も流さない。

逆に妻の死を受け止められないトラック運転手大宮(竹原ピストル)は妻の事を思い出しては涙してしまう。

二人には温度差はあるけれど、妻を突然失ったことによる

心の傷は簡単には癒えない。

 

ゲス不倫して自分の評価ばかり気にして

人間としてはうすっぺらい小説家サチオだって

心のどこかに傷を負っていて

妻の存在の大きさに気づいたんだと思う。

 

涙腺はずーと緩みっぱなし。

それが決壊して涙がとめどなくあふれてきたのは、

大宮さんが妻の留守番電話のメッセージを削除したところ。

 

私も大宮さんと同じで

いつまでもずーといろんなことをひきずるタイプの人間だからかも。 

 

 

【ふたりの桃源郷

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山口放送制作のドキュメンタリー映画

時の流れとともに少しずつ老いていく二人の姿に

いつしかやってくる自分の人生の終期についてあらためて考えさせられました。

 

あの山で自然と共存しながら生きていきたいという故郷愛や

いつまでもお互いを思いあう夫婦愛

お二人の人柄に胸が熱くなりました。

 

映画鑑賞後、

これを制作された監督の話を聞ことができたのですが、

お二人のことを思い出して感極まって涙される場面もあり、

この作品を撮っていくうちに深まったお二人との絆を感じました。

 

 

 

 

 

 

 

やっと出会えた尾道プリン

 

ノスタルジックな海辺の景色が眼下に広がる坂の町、尾道に行って来ました。
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千光寺から 文学のこみち、猫の細道を通って、
結構な坂道でしたが、
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見渡す景色が懐かしいような心地よさで、
心癒されながらのてくてく散歩。

 



今回の旅の目的は、尾道プリン

販売店「おやつとやまねこ」さんの開店が10時ということで、
9時半に駅の駐車場に車を駐めて歩いていくと

なんと、もう開店待ちの行列が…

(ゴールデンウイークなので、この行列は特別なのかもしれません)

20分並んでなんとか買うことができました。

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素材にこだわっているがとっても感じられる優しい味でした。

添付のレモンソースをかけるとまた一味違って、二つの味を楽しめるところもなかなか良いです。

4本買うと入れてくれるパッケージも可愛い
魚の醤油入れにソースが入っているところも粋な感じ

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他に チョコ味と抹茶味とコーヒー味 あり

コーヒー味はちょっとビターでとってもコクがあり、やみつきになる味でした。

漫画家さんとのコラボらしく
渋い感じのパッケージです。

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3月のライオン 前編 後編

f:id:tsuguming:20170416151824j:plain 3月のライオン 前編 後編 (2017)

 

たしか深夜だったと思うけど たまたまつけたテレビでアニメの放送をやっていて  ついつい見てしまったのがこの原作との出会い。

アニメなんだけど、時折セリフやナレーションに含まれる文章が小説を読んでいるように洗練されているし、主人公の桐山零くんが孤独な中にも強い魂を秘めていて、なんだか惹かれてしまいました。

 

映画化されると聞いて、どんな感じになってるんだろうなと気になって見てみることに・・

印象としては、

役者が豪華!違和感なく役にはまっている。(桐山くんを勝手にライバル視している二階堂くんなんか原作どおりで笑えた。) 

将棋の駒をすすめる時のしなやかな手の運び、

顔のアップと顔に浮き出た血管だけで対戦の様子を演じきる役者さんもいて、

なかなか見応えありました。

 

後編は、ストーリーがいろんな方面に急展開して、盛りだくさんなんだけど、

なんとなく、共感できないところ(桐山くんが悪者になってしまったとこなど)も少しあって、終わったあとはちょっとすっきりしない感じでした。

 

でも、これは観る人によるみたいです。

とても共感できて、涙たくさん出たというレビューを書いている方もいて・・

 

 

将棋のことをよく知らなくても楽しめる映画。

将棋のことを知っていたらもっと楽しめる映画、です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ラ・ラ・ランド やっと見ました。

 

 

f:id:tsuguming:20170416141535j:plain ラ・ラ・ランド (2016年)

 

 

「セッション」のデイミアン・チャゼル監督最新作であり、アカデミー賞の監督賞と主演女優賞を受賞したとの話題もあって これだけは映画館で見ておきたいと思ってた作品。

 

春夏秋冬のシーズンで場面を区切りながら 現実と幻想を 時折ミュージカルを交えて描いていくという構成で、最初は感情移入するというより、美しいパフォーマンス、美しい景色に見入ってしまうといった感じでした。

でも、ストーリーが動いていくにつれて、段々と心動かされて、二人の行く末に目が離せなくなって・・・

 

何と言っても圧巻だったのが、セバスチャンを演じるライアン・ゴスリングのピアノ演奏。ピアニストの方だとばかり思っていたら、この映画の役作りのためにジャズピアノを習得して全編吹き替えなしで演じられたとか。

映画の役と一緒でライアンも完璧を求めるこだわりの男なんでしょう。

 

自分の好きなことにこだわって妥協できなかった彼が、

彼女のために何かを犠牲にして、包容力のある大人の男性になり、

 

彼女は自分のこだわりを追及する彼に影響を受け、

夢に向かって自ら切り開こうとしていく。

 

<ネタバレありですが、>

最後、セバスチャンがミアと再会して、あの時こうだったらと過去を振り返り、でも最後には「これでいいんだ」とうなずいたあのシーン。彼の男気にぐっときました。

 

恋をしたくなる映画ってことらしいけど、

私にとっては、自分の好きなことを突き詰めたい、やりたいことに挑戦したいと思わせてくれる映画でした。

 

 

 

 

インフルエンザがくれた偶然の必然

 

不覚にもこの3月期末の忙しい時期に

インフルエンザウィルスにやられました。

 

熱もそんなに上がらず、意外と元気だったので、

インフルエンザと診断されたときは思わず大きな声で

「え~っっ!!」と叫んでしまったほど。

 

旦那には「絶対にうつすなよ!!」と釘をさされ、

今週アポをとっていた仕事関係先に申し訳ありませんのメールや電話をしたら、

一気にウィルスに身体を侵略され、ふらふらに

 

ほんとについていない。

いや、自分が甘いだけなのですが。

 

でもね、おかげでいいこともありました。

それは久しぶりに小説を読む時間を持つことができたこと。

 

床にほったらかしにされていた息子の鞄をさぐってみつけた

すごいタイトルの小説

 

「君の膵臓を食べたい」

 

グロテスクすぎるタイトルを見て、こんな本読んでるのか と

息子の感性を疑っていると

 

私の干渉をいやがるはずの息子が「その本結構感動するよ」

とめずらしいことを言ったので読んでみることに。

 

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タイトルとは裏腹な青春恋愛小説。

作者のセンスある言葉の使い方や私たちおばちゃんが使うことはないであろうウィットに富んだ十代の会話は、新鮮な刺激と感動を与えてくれました。

 

どこのどんな部分が私の心を動かしたのか自分でも分からなかったけれど

涙が止まらなかった。(鼻水も)

 

気が付けば、目の前にはティッシュのくずの山

大量の涙と鼻水と一緒にインフルエンザウィルスの8割方が私の身体から

抜け出てくれたのでしょうか

いつの間にか心も体もスッキリ爽快に。

 

毎日毎日人生のらせん階段をぐるぐる上っていた私を立ち止まらせてくれたインフルエンザと

絶対読むことのない本を読む機会を与えてくれた息子と

私の身体に溜まっていた悪いものをたくさん吐き出させてくれたこの小説の作者に

心から感謝したいと思った一日でした。

 

明日からはちゃんと働きます。(外にはまだ出れませんが・・)